今日は、バレンタインだった。

前から分かっていた日だし、何を用意するかも、ちゃんと考えていた。

甘すぎるのは苦手だって言ってたから、少し苦めのやつにした。 包装は派手じゃないほうがいいと思って、袋も透明のにした。

渡すタイミングも想像していた。 会えたら、さりげなく。 会えなくても、短い言葉を添えて。

でも、会えなかった。

連絡は来ていない。来られなくなった理由も、今日は聞かないほうがいい気がした。

チョコは溶けない場所に置いてある。冷蔵庫に入れるほどでもないし、かといって、このまま机に置くのも違う。

賞味期限は、まだ先だ。今日じゃなくてもいい。渡す日がずれただけだと思えばいい。

バレンタインは、渡す人がいなかったら失敗、というわけじゃない。

用意した事実は消えないし、気持ちも、なくなったわけじゃない。

今日は、渡さなかっただけ。

それだけの記録。

明日になれば、普通の日に戻る。

チョコは、ここにある。